明け方の若者たち

film

公式ホームページはこちら→http://akegata-movie.com

■主要キャスト 僕役 北村匠海 ・彼女役 黒島結菜 ・尚人役 井上祐貴

あなたは、夜を何色で塗りますか。そう聞かれているように思った。そう思っただけで、そんなセリフは映画にはない。映画全体を青の階調表現が支配している。主人公たちが夜明け前の街を走るシーンが印象的だ。その空の色は、薄く透きとおったブルーだ。

夜のシーンが多い。特に前半はその印象が強い。この映画は前半の映像が素晴らしい。例えば、最初の公園でのデートは夜であり、冬の神社前での手持ち花火も印象的だ。そして主人公3人が呑み明かし夜明け前の街を走る場面は言葉にしてしまえば気恥ずかしいが、この映画での最も美しい画面がみられる。ローアングルからの移動撮影で先頭に走る黒島結菜を捉えるのだが、画面はぶれる。だがその「ぶれ」はよくある手持ち撮影のブレではなく、固定した画面を意図的にぶらしている。編集時にエフェクトをかけたような効果だ。その不安定さが物語と合致し、妙なリアリティを出現させていた。

存在

メインの3人全てがこの映画に溶け込んで、個性的な色を作り出している。特に彼女役の黒島結菜の存在がこの作品の不思議な魅力を形作っている。映画の中での行動と、彼女が醸し出すイメージとはかなりズレがあり、そのことが逆に人物の造形を深いものにしている。『楽しいこと全部やっとかないと…』の台詞回しに全てが象徴されている。この作品を支配する「青色」のように、簡単に言葉にすることができない感情の階調を表現している。ペパーミントグリーンに近い青であったり、藍色のような深い青色を状況に応じて光らせている。

フジロックフェスティバル

蛇足だが、物語の中で2014年のフジロックについて話されるが、それに対抗して旅に出る。ちなみに自分は行く派で、主人公の先輩に近い。ただし自分にとって2014年フジロックは、オリジナルメンバーでのルースターズ最後のステージと思っている。

まとめ

とはあれ、画面の色と危うさをみる、絶対に無視できない不思議な作品だ。また公式ホームページのデザインもいい。

アナザーストリーは本編をみてから。高速道路から見る、遠くの花火のシーンが目に焼き付く。

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